大阪 Journal

日々を徒然に記述

黒牢城

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黒牢城 by 米澤穂信

ミステリー畑の作者によるミステリー風歴史小説

主人公が荒木村重とまた渋い。

舞台は伊丹にある有岡城。織田との攻防戦。小説の劈頭で、黒田官兵衛が捕まる場面が描かれる。その後要所要所で黒田官兵衛荒木村重が城内で起きた不可思議な事象を巡って行う駆け引きが見もの。

著者はそもそも歴史小説の書き手ではないものの、格調高い文体で安心して読める。一気読みであった。

ただ、戦争中の舞台で悠長に謎解きをしている暇があるとも思えず、現実にはないだろうなあというところもしばしば。

趣向が面白いので、できれば違った舞台のものも書いてほしいところ。

三体 死神永生

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三体 死神永生

このスケール、時間軸、出色のSF作品と言ってよい。

これだけの内容をよくもまあと考えつくと感心するレベル。

2巻のエンディングが見事だったけに、この3巻のほうに不満を持つひともいるようであるが、3巻は3巻でそおのスケール感は圧巻。SFの醍醐味を感じる。

主人公のキャラクターはぱっとしないが、それすら些事。

 

続・用心棒

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続・用心棒

GW中に読了。前作を読む前から続編を読んでしまうことに。こちらを気に入ったので前作を改めてアマゾンで購入。侠気があり、複雑なバックグラウンドがある主人公とNYの各種組織の込み入った利害関係の駆け引きも見もの。ここでも米国治安組織の縄張り争いがエピソードとして組み込まれているのはご愛敬。

帰らざる故郷

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帰らざる故郷

ジョンハートの新作。500ページを超える長編であるが、ほぼ一気読み。部隊はベトナム戦争末期の1972年ノースカロライナ、シャーロット。ベトナム戦争の影響が色濃く影を差すなか、家族の葛藤が描かれるミステリ。いまだにベトナム戦争後を描く作品が多いのはそれだけのものを米国に残したということであろう。いずれアフガン戦争や、イラク戦争のことも描かれる作品が増加するのかも。

この作品でも最新のセキュリティーシステムなども舞台装置として出てくるが、なにせ1972年。SONYPANASONICの名前も出てくるのであるが、この時代にPANSONICなんてブランドは実在したか?とも突っ込みできるようなところも。ネットやスマホの登場で、ミステリー作品もいろいろやりにくくなっているのかも。

帰らざる故郷

GW前の黒川温泉

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黒川温泉街

全国でコロナ禍がぶり返すなか、有給を取って、黒川温泉へ。宿をBooking.comで取り、高速バスで黒川へ。鄙びた雰囲気はなかなかで、農村の中にある温泉という感じ。

ただ、この折からのコロナの影響で夕食を取ろうにもやっている店がない・・・。コンビニもないので、事前にある程度お金をおろしていないと心許ない。これだけ有名な温泉地でもインフラが弱い印象。正月に行った渋温泉でも現金を下ろすの忘れて帰りにコンビニまで旅館の人の送ってもらうはめになってしまったが・・。

監視資本主義

www.netflix.com

Facebook,twitter,googleなどで枢要なポジションにいた人たちがネットやSNSが現状いかに人々の思想や行動に影響を与えているかという点に警鐘を鳴らす。

巨大企業が人々の生活に影響を及ぼすという意味では、今のGAFAMの生活への浸透度はそれこそ極めて深刻なレベルではないかと考える。正直、利便性を考えれば少々の情報をテック企業に売り渡したところで大したことはないと考えていたが、これを見てから少々考えが変わりそう。

マイシスターシリアルキラー

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マイシスターシリアルキラー

混沌と言える都のナイジェリアのラゴスが舞台で美貌の妹がシリアルキラーとこの設定だけでそれなりに興味が沸くこちらの作品。まあ、ナイジェリアもまだまだ経済的なレベルが高くもないので、スマホを普通に使っているこちらの主人公姉妹は上級階級?に属するのではないか。あまりモチベーション高く働かない病院の作業員や賄賂を求めてくる警察官などはアフリカ的であるが、それ以外の描写は先進国と遜色ない。アフリカだろうと南米だろうと、欧州だろうとそれなりの所得をもった階級の生活はかなりのレベルまで同質化しつつあるのかも。