大阪 Journal

日々を徒然に記述

たかが殺人じゃないか

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たかが殺人じゃないか

このミス国内部門1位作品。

最初読み始めるとラノベのような雰囲気と、戦後直後というあまりなじみのうすい時代が背景のため、興が乗るまでやや時間がかかる。ただ、軌道にのってからはあっという間に読了。舞台が名古屋近辺なので、このあたりに土地勘のある人はより面白いかも。

戦後すぐの時期でいろいろなものが大きく転換する時期の戸惑いのようなものもよく描写されている。どことなく明るさも感じさせるが、戦争が終わって直後はそんな空気感があったのかも。また意外に豊かな学生生活が垣間見られるのも面白かった。ミステリというより青春小説の趣。それもあまり経験できない時代を描いたところが面白さ?

白いのになぜ「銀世界」 「細雪」とはどんな雪? 雪の名前から見える風景

weathernews.jp

文章術の本には、大抵わかり易い表現を使え、馴染みのない言葉はあまり使うべきでないと書かれることが多い。ただ、それでもこのコラムのような優雅な表現は使って見たくなるもの。

わかりやすさは重要ではあるが、それがすべてではないだろう。

IWGP 獣たちのコロシアム

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IWGP 獣たちのコロシアム

時事ネタを織り交ぜつつ、水戸黄門的な安定の面白さ。マンネリ化はあるかもしれないがある種の様式美。軽めのエンターテインメントとしては文句なし。しかし、今回は終章の児童虐待ネタが印象わろし。実際にそのようなことがないことを祈る。

素晴らしき世界

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素晴らしき世界

定番ミステリー。本屋で見かけてすぐに購入。前作のレイトショーからまだ9か月ほどしか経っていないのに新作投入とは嬉しい誤算?

そのレイトショーの主役のバラードとボッシュが組んでの展開になり、いつもとは違う趣に。ただ、ボッシュもさすがに寄る年波に勝てない?感もあり。こういうところをリアルに時間の経過を追ってしまうのはエンターテイメント作品としては賛否が分かれそう。ドラマの端に出てくる人物にオピオイド中毒が深く影が差しているのは、日本ではわかりにくいところではある。ただ、ドラッグに頼らざるを得ない人がたくさん出るくらいに米国の現実も厳しい。

コロナ後の世界

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コロナ後の世界 文春新書

世界の有名どころのインタビュー記事を集めた新書。手軽に読了できるうえに、情報も効率的に取れる一方、やや物足りない印象も。

ジャレドダイアモンド 民主制にまだ信頼を置いている感じ。日本はまだましという論調であるが、女性と高齢者の活用がカギと割とよくある意見。米国では免疫獲得のため水疱瘡パーティーなるものがある?

マックステグマーク MITの理論物理学を専攻している教授。AIに造詣が深い。パンデミックとの戦いは情報戦であり、中国・韓国はビッグデータの活用もあり、うまく対処しているとのこと。正直なところ、かなりのい情報を政府に握られる訳で、パンデミックを抑え込んだといってもなかなか普通の先進国ではやりにくい。かなりの力技だろう。(中国 コンタクトトレーシング 監視カメラやカードの情報、チケットの購入履歴等で行動はお上に筒抜け)

リンダグラットン 人生100年時代 健康を維持しながら年を重ねることが重要に。

 人生100年時代に必要となる資産。

1つ目は生産性資産です。価値ある高度なスキル自分のキャリアにとってプラスとなる人間関係、会社や組織に頼らない自分自身の評判 それらを得ることによって社会から求められ続ける人材でいることができます。2つ目は活力資産です。百歳まで幸せに生きるためには肉体的、精神的な健康が不可欠です。運動や食生活を大事にすると同時に適切なストレスマネジメントの実践も求められます。また孤独な生活を送るより家族や友人と楽しい時間を過ごす人の方が長生きします。最後に変身資産です。長い人生を歩んでいく中でずっと同じ人間でいるわけにはいきません。勤務している会社が倒産するかもしれないし、時代も変化していきます。明日私たち自身も歳をとれば心身ともに変化します。様々な変化についていける力を鍛えるためには、自分と向き合い自分と違う年代、性別、仕事、国籍の人たちと関わっていくことが大事。

ティーブンピンカー

マスメディアはネガティブなことしか流さない。→バイアス

我々はデータを理解できない。

環境問題 企業を絶対悪のようにして対立構造に持ち込んでも問題は解決しない。

スコットギャロウェイ

GAFA営利企業。多くのクリックをもたらすのは対立を煽るようなSNSの反応だったりする。それを強化する方向にアルゴリズムは働くようになる。そのほうが金を生むから?googlefacebookの経営者は民主的に選ばれることはない。AMAZONはフルタイムのロビーストがワシントンに100人いる。GAFAに頼る現実を直視すべき。

ポールクルーグマン

パンデミックにあたっての経済的な政府の救援策は間違いない。債務は増えても金利が成長率より低ければGDPに対する債務の割合は減少する。パンデミックからの経済の回復はナイキのスォッシュ型であろう。

日本の経済対策 莫大な債務を軽減するにもインフレ誘導は意味がある。そのためには膨大な財政支出拡大が必要。EUは意思決定できない。ドイツはそのなかでも問題児。(財政健全化にとらわれすぎ?)

 

 

 

 

壊れた世界の者たちよ

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壊れた世界の者たちよ

ドン・ウインズロウの中編作品集。中編の「ラストライド」はメキシコ国境での親と子が離れ離れになってしまう問題など最近の米国の問題も巧みに織り交ぜられている。いつもの長編とは趣は違うものの、どれも読ませる作品であった。小笠原に向かう小笠原丸内で1日で読了。舞台はサンディエゴ、ハワイ、ニューオーリンズ

「犯罪心得一の一」の盗難犯と保険ブローカーのやりとりなどは興味深かった。「サンセット」のサーファーの仲間たちで問題解決にあたる件は、GTO鬼塚英吉が湘南に戻るところを見るようなノリである。

巻頭言? 読む時間がなければ、書く時間(あるいは資質)もない。これは自明の理だ。

ティーブンキング

死亡通知書 暗黒者

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中華ミステリ

8月のハヤカワポケミスの新刊。読み始めてからは一気呵成に読了。中国では2008年には出版されているらしく、12年も前の作品とも思えない。こないだ読んだ三体も含めて中国圏の作品も侮れない。むしろもっと輸入して欲しいくらいのレベル。まだ3部作の1作目。続編が待ち遠しい。